案外知らない魚の面白話

カニのはさみの切れ味は

魚の知識.魚の疑問,

カニのトレードマークといえば、ふたつの大きなハサミですね。
カニはそれらを使って、敵を威嚇したり、エサを挟んだりしますが、ハサミというだけに、一つの素朴な疑問が頭に浮かびます。
果たして、カニはハサミを動かすことで、人間が使うハサミのように、ものを切ることができるのでしょうか?

 

多くのカニのハサミには、大小の歯が並んでいます。
カニのハサミの内側についているギザギザがそれで、
カニはこのギザギザのおかげで、獲物を捕まえることができます。
しかし、そのハサミに、人間が使うハサミのような切れ味は望めません。
殆どのカニのハサミでできるのは、人間の手でできるのと同じこと。
切るというよりも、ちぎることです。

 

ただし、ごく一部、刃物のように切れ味鋭いハサミを持つカニもいます。
例えば、紀伊半島以南のサンゴ枝に棲みついているサンゴガニです。
サンゴガニは甲羅幅1.3センチほどの小さなカニですが、そのハサミの
切れ味は抜群なのです。カミソリの刃のようになっていて、
本物のハサミ顔負けの、鋭い切れ味を誇っています。
サンゴガニが、そのハサミで切っているのは、サンゴを襲うオニヒトデの足です。
サンゴガニは小さな体でありながら、良く切れるハサミを使って、
自らの棲家であるサンゴを守っているのです。

 

カニの多くは、モノを掴んだり、引きちぎったりするのに適したハサミを
持っていますが、サンゴガニのように鋭利な刃物を装着しているカニも
いるのです。

 

 

ぷりぷりのカニの爪を食べたいときは


ウナギを刺身で食べられないのは

魚の知識.魚の疑問,

ウナギの調理方法といえば、蒲焼き、白焼き、肝吸いなど
加熱処理したものが一般的ですね。
刺身を食べたという人はまずいないでしょう。
魚といえば、たいていのものが刺身になるのに
なぜウナギは加熱したものを食べるのでしょうか?

 

それは、ウナギの血液に、イクシオトキシンという毒が
含まれているからです。
この毒は、タンパク質性の神経毒で、体内に入ると、
下痢や吐き気、けいれんや呼吸困難などの中毒症状を引き起こします。
大量に摂取すれば死亡する恐れもあることから、ウナギの生食は禁止されています。
しかも、卵巣や肝臓などに毒を持つフグと違って、ウナギの場合は
血液に毒があるので全身に回っていますので、取り出すのは難しいのです。
そんな理由から、ウナギの刺身は敬遠されてきたのです。

 

こうして、ウナギの調理法は、蒲焼きや白焼きなどの、火を加えることが一般的
になりました。ウナギの毒はたんぱく質なので、50度から60度の熱を5分程度
加えるだけで、簡単に毒性が消えてしまいます。
強火で焼いて蒲焼きにすれば、何の問題もないのです。
ただし、血液を抜けば問題はないことから、まれにウナギの刺身を出す店も存在します。
相当の調理技術が必要ですが、完全に血液を抜いてきれいに洗えば、
ふぐ刺しのようなコリコリとした食感を楽しめます。

 


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