アユが好む環境の条件

アユはなぜ、日本の川だけに多いのか

魚の知識.魚の疑問,

アユは、食べてよし、釣ってよしの川魚の王様。
釣りたてを遠火の炭火で焼いた塩焼きが、最も美味しい味わい方ですね。ほかの川魚は臭くて苦手だが、アユだけは別という人もいます。
ところで、その美味を世界の人々も味わっているかというと、答えは「ノー」です。アユは日本では、北海道から沖縄まで分布するポピュラーな魚ですが、世界的に見ると、棲息域がごく限られているのです。日本以外では、朝鮮半島の中南部、台湾北部、あとは中国の福建省しか棲んでいないのです。

 

なぜ日本の川に多いのかというと、言うまでもなく、日本の川がアユの棲息に適しているからです。
では、アユが過ごしやすい川の条件とは、どのようなものでしょうか?
第一の条件は、ある程度の水温があって、藻が育ちやすいこと。
もう一つの条件は、川の下流域が短めであることです。

 

アユは、膿から川をのぼって暫くすると、石についた珪藻という藻を食べ始めます。
アユは、またの名を「香魚」といいますが、これは藻を盛んに食べるため、アユの
身に独特の香りが移るからです。
その珪藻のつく石は、流れの急な川底にあります。また、育ち盛りのアユの食欲を
満たすためには、藻の成長が早いことも必要条件になります。
また、アユは一年という短い生涯を海と川を往来して過ごします。
そのため、川の下流域が短くなくてはなりません。下流がゆったり長いと、短期間に
川と海とを行ったり来たりできないからです。

 

その点、日本の川は、海からのぼると直ぐに、流れの急な石の多い川底になる。しかも、
夏の水温は適温で藻の成長は早い。その環境が、アユにベストマッチなのです。

 


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