トビウオはなぜ飛ぶ

トビウオはなぜ飛ぶのか?

魚の知識.魚の疑問,

空飛ぶ魚トビウオは夏に旬を迎える魚。
引き締まった身は淡白で、新鮮なら刺身でもいけるが、
煮魚には向かない。加熱すると、身が固くなって美味しく頂けないのだ。
逆に、何といってもうまいのは干物。食通はトビウオのクサヤを好むというが、干物にすると美味しいのは、トビウオは脂肪分が1%と極端に少なく、代わりにタンパク質が豊富だから。
脂が少なければ酸化しにくく、味が落ちにくい。
その一方で、タンパク質がアミノ酸に分解されるために、
グッとうま味が増すのである。

 

トビウオの体に脂肪分が少ないのは、もちろん空を飛ぶためだ。
身が重ければ、空は飛べない。
そもそも、トビウオには、食料を蓄えておく胃もないし、消化管も極端に短い。
エサは動物プランクトン一本やり。魚を食べていたら体が重くなってしまう。

 

そうまでしてトビウオが空を飛びたい理由は何なのだろうか?

 

先ず一つは、外敵から身を守るため。トビウオは海面の上を泳ぐ
「表層魚」であるため、大型の回遊魚に捕食されやすいのである。
そこで彼らは、マグロなどに追いかけられたとき、
パッと翼(胸ビレ)を広げて、飛び上がるのだ。
マグロにしてみれば、追跡していた魚がいきなり目の前から姿を
消してしまうのだから、キツネにつままれたような気分だろう。
逃走手段としては、非常に有効といえる。
もっとも、トビウオは逃げるとき以外にも飛ぶ。
船のエンジンにビックリして飛ぶこともあるし、
夜間の照明に誘われて飛ぶときもある。
なかには、飛ぶことで喜びを表現しているとか、
一種のレクリエーションではないかとという説もある。


i