アンコウのつるし切り

アンコウを切るとき、吊るし切りにするのは?

魚の知識.魚の疑問,

アンコウといえば、吊るし切りと呼ばれる独特の捌き方が有名である。
吊るし切りというのは、アンコウの下あごに縄を通してフックをかけ
文字通りアンコウの体を吊るした状態で肉をそぐことをいう。
こうして、身と皮を包丁で別々にし、胃にあたる水袋や、アンキモの名で
親しまれている肝臓などを取り出し、アンコウ鍋や唐揚げなどに料理する。
でもなぜ、アンコウはまな板の上で捌くほかの魚と違って、
吊るした状態でさばくのだろうか?

 

それはアンコウの体が全体的に柔らかく、体表にぬめりをもつため、
まな板の上では、包丁がすべって切りにくいからだ。
しかも、アンコウは、最大級のものでは全長が2メートル近くもある巨大魚。
それだけ体が大きいうえ、柔らかくて扱いにくいとあっては、
吊るして切る方法が一般的になったのもうなずける。
アンコウを吊るすと、自身の重みで下に引っ張られるため、
胴体に張りが出て、切りやすくなる。
そのさい、より強く張りを出すため、アンコウの口から水を流し込み、
胴体を膨らませてからさばく方法がよく用いられている。

 

なお、肉食性であるアンコウは、小魚やプランクトンを食べて育つが、
種類によってはカニや小型のサメ、カモメやウミガラスまで食べる
こともあり、解体時にそれらが出てくることがある。
なかには、ペンギンが体内から発見されたという報告もある。

 


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