タチウオの生態

タチウオが、昼は海底、夜は水面で暮らすのは?

魚の知識.魚の疑問,

魚にはヒラメやカレイのように、体を横倒しにして暮らす魚がいる一方で、なぜか体を垂直に立てて泳ぐ魚もいる。
その名も、ズバリ「タチウオ」である。もっとも立っているから「立ち魚」なのではない。タチウオは漢字で「太刀魚」と書く。

 

タチウオは、長く薄いリボンのような体をしていて、大きなものでは150センチにもなる。尾の部分は、先へ行くほど細くなり、体はメタリックな銀色。つまりピカピカ光っている。それが水中で垂直に立っているのだから、切れ味鋭い刀そくりに見えるわけだ。

 

そのタチウオ、水深40〜150の水底に群れをつくり、例のホバリング状態でじっと体を休めているのだが、夜になると、エサをとるため、水面近くまで垂直に昇ってくる。

 

またの名を「海のギャング」とも呼ばれるタチウオは、獰猛な魚としても知られる。
面構えも相当に怖いが、それ以上に恐ろしいのは、鋭い歯と強いアゴ。
エサとなる小アジなどの魚を狙い、下からノドをめがけて、ガブリと噛み付くのである。
しかし、全てが肉食ではない。
タチウオは成長するにしたがって、食事メニューを変えるのだ。
30〜40センチ程度の小型のものは、低生動物やプランクトンを食べる雑食で、
大きく成長すると、魚を食べるようになる。したがって、海底から水面へ浮上する
垂直運動にも、固体の成長度合いによって違いがある。

 

夜間の一本釣りにかかるのは、若いタチウオで、大きさは中間クラス。
もっと大型のものになると、夜はじっとしていて、昼にエサとなる魚が
泳いでいる限度まで浮かんできて、獲物を狙うのである。

 

ちなみに、タチウオの体が銀色に光るのは、体表に「グアニン」という粉があるため。
これは模造真珠のつや出しや、化粧品、銀箔紙の材料など、意外な用途に使われている。

 


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