ホタルイカの発光のワケ

ホタルイカは体のどこが何のために光るの?

魚の知識.魚の疑問,

富山湾の春の風物詩といえば「ホタルイカの群遊海面」です。
産卵のために集まったホタルイカの大群が、いっせいに青緑色の光を放つ幻想的な光景は、その美しさと珍しさから、国の特別天然記念物に指定されています。それにしても、なぜホタルイカは、海の中で光を放つのだろうか?

 

その前にまず、ホタルイカが光る仕組みについてみてみましょう。ホタルイカは体に備えた発光器が発光物質や酵素を含んでおり、これらがシフェリン・ルシフェラーゼ反応と呼ばれる化学反応を起こすことで、海の中で光を放つことができます。これは、ホタルやチョウチンアンコウが発光するのと同じ仕組みで、ホタルイカの場合は、体の一部を発光させるホタルやアンコウと違い、腕、腹側前面、眼球の側に発光器があるので、ほぼ全身を光らせることができます。

 

では、ホタルイカは、何のために光を放つのでしょうか?
最も大きな理由は、外敵から身を守るためです。
もし、ホタルイカが光らなければ、海の中に差し込む光によって、その姿が
影絵のように浮かび上がり、敵に居所を知られやすくなります。
しかし、、海に照り付けられる光と同じ程度にホタルイカが光れば、
自分の影を消し、その存在を目立たなくさせることができます。
ですから、ホタルイカは、日差しの強弱によって、どれだけ自分が光るかを
コントロールすることができるのです。
光りすぎても、もしくは光が弱すぎても、海の中で目立ってしまうからです。

 

ほかにも、仲間を識別したいときや、外敵に強い光を浴びせ、
目くらましをくわせるときにもホタルイカは光を放ちます。
ホタルイカは、周囲の状況に合せて、自らの光を調節しながら生きているのです。

 


i